陣ノ内 康暉(PN)さん

マンガ家
「ジャンプ+」にて『被験者シア』を連載
せっかくここに来るのならば、
使えるものは全て使い、
得るものは遍く取り入れ、
そしてなにより最後までやりきる。
それを心掛けてみてもいいと思います。
『被験者シア』第1話、最終話より

卒業後はどんな仕事をしていますか。

在学中に完成させた作品でマンガ賞(少年ジャンプ+連載オーディション)で準大賞を獲得し、それをきっかけに連載デビューしました。連載を無事終え、今は読み切り作品を企画したり連載用の案を構想したりしています。

現在のお仕事について、面白さを感じるのはどういったときでしょうか。また逆に、難しさや苦労を感じるのはどんなときでしょうか。

自分の意図した演出や構成が、少ないページ数の中でうまくまとまったときなどには、とても面白いと感じます。また、情報量をオミットしつつ説明不足に陥らないようにしつつそれでいて物語として自然に読ませるように話を作るのが困難な事です。
現在は二本目の連載に向けて構想していますが、初連載とは違う苦労が見えてきました。
初連載では好きにやらせてもらえましたが、商業作家である以上いわゆる「売れ線」を狙うことも重要なようです。マンガ家になる前は「面白ければなんでもいいじゃない」と思っていましたが、どうやらそうではないらしい。自分の作風や得意なことを活かしながら、より多くの読者へ作品が届くように模索しています。
『被験者シア』第11話より

学生時代の学びや経験が、今の仕事に活きていると感じるのはどういったときでしょうか。

個人でのマンガ制作。のちのデビューの直接的な礎となったので。
他にも、よく知り合いと物語やキャラクターについての議論をしていて、その時の内容が
今もそれらを作る際に少しばかりは役に立っています。多分…そう…そのはず。
情報館*で個人的に気になることを調べたりしていたので、そういう点も今の活動に活きていると感じます。
*情報館=学内施設。図書や視聴覚資料、雑誌、新聞などが自由に利用できる。

印象に残っている授業や、自分の実力が大きく伸びたと感じる課題があれば教えてください。

ログラインとコンセプトを理解する授業が役に立ちました。
「ログラインを考える」とは「その物語がどういうものか三行程度で短くまとめる」行為であり、物語をまとめる能力がついて、自分が今描こうとしているものが何なのか理解しやすくなります。
「コンセプトを考える」とは「この物語で何を見せたいか、何を伝えたいかを決める」行為であり、これにそって作っていけばアイディアに詰まっていても破綻せず物語を盛り上げることが可能です。
これらは脚本の基礎的な要素であり、そして重要な根幹システムなので、学べて良かったと思います。

こんな授業があればよかったと思うことがあれば教えてください。

特にありません、十分すぎる課題量でした。
課題の量を増やしても雑で稚拙なものしか出来上がらないので。
当時の教員はそれを大変よく理解されており非常に優秀で信頼できる方々だったので、伸び伸びとやらせていただきました。

新世代マンガコースを受験しようと思っている高校生へメッセージをお願いします。

ここに来ると沢山のマンガの知識や、それ以外の教養と価値観を学べます。
これからこのコースから大成する人が出てくるでしょう。
ただ、別にここに来なくても大成する人も出てくるでしょう。
結局のところ、あなたの人生はあなたの意志と決定能力によって決まるものなので独学でやろうと思うならそれでよし。しかし、せっかくここに来るのならば、使えるものは全て使い、得るものは遍く取り入れ、そしてなにより最後までやりきる。それを心掛けてみてもいいと思います。あなたにだって魂はあるし脳だってついている。
未来を創れ。
interviewer 新世代マンガコース

プロフィール

陣ノ内 康暉(じんのうち・こうき)

京都精華大学新世代マンガコース卒業。
独自の美学とダークなテイストを織り交ぜた作風が特徴。在学中から意欲的に作品制作へ取り組み、複数読み切りマンガを制作。
4年生のときに描いた作品で少年ジャンプ+連載オーディション準大賞を獲得し、大学卒業後に「ジャンプ+」にて『被験者シアで連載デビュー。
現在は連載終了し、次回作に向けて構想中。

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